○ 精巣は生後約半年で腹腔内⇒鼠径部⇒陰嚢に下降します。 (生まれつき陰嚢にある場合もあります。)
○ 精巣が腹腔内または鼠径部で停滞してしまうことを潜在精巣といいます。
○ 潜在精巣の犬は通常の犬よりも睾丸腫瘍になるリスクが13.6倍高いと言われています。
○ 遺伝の可能性が示唆されているため、繁殖をしない方がいいとされています。
○ 睾丸腫瘍になるまでは無症状です。生殖能力はありませんがホルモンの産生は続くため性行動は持続します。
○ 腫瘍化した場合、腫瘍の種類により症状が異なります。
□セルトリ細胞腫:エスロトジェンにより雌性化や脱毛、再生不良性貧血、白血球減少。転移率高
□間質細胞腫(ライディッヒ細胞腫):プロジェステロンにより会陰ヘルニア、肛門周囲腺腫。転移はおこさない。
□精上皮腫(セミノーマ):症状はまれ。転移は起こさない。
○ 診断は触診またはエコーなどの画像診断で行います。
○ 治療は早期の去勢手術が第一選択です。陰嚢に固着している場合は陰嚢摘出も必要となります。
○ 腫瘍化した場合、化学療法や放射線療法が必要になる場合があります。
正常な精巣(左)と腹腔内の腫瘍化した精巣(右)です。
精巣の著しい腫脹が見られます。